最近、犬を飼い始めた。
とは言っても、野良犬の1匹に名前をつけただけなのだけど。
クロちゃんがアパートの踊り場に泊まりに来るようになって、しばらく経つ。
3ヶ月ほど前のある夜、家の扉が何かに引っかかって開かないので、
無理やりドアを開ける。
何か黒くて丸いものがズルズル、と向こうへ動いたかと思うと、
暗闇の中でのそりと立ち上がり、面倒くさそうにこっちを見ている。
こちらはぎょっとするのだが、また何事もなかったように、身体を丸めて寝てしまった。
・・・以来のことだ。
極めてもの静かなタイプで、近所でもずいぶん愛されている。
餌をもらってはいろんな家の前で、番犬の“フリ”のバイトをしている。
けれど帰ってくる僕らを見つけると、耳と尻尾を静かに振りながら、一緒についてくる。
雨季の今は何より、雨をしのぐ屋根が大事な訳で、
誰と仲良くすれば良いか、じゅうぶんに心得ているからだ。
いくらか遠慮がちで、吠えもせず、困った顔で見つめられると、
僕らはスーパーで思わず、“ぺディグリーチャム”なんかを買ってしまったりしてしまう。
そうこうしていると、茶色の可愛い彼女を連れてきた。
数メートルの距離を置いて、上目づかいで、
あのぅ、できればこの娘も泊めてやって欲しいなぁ、というアピールを静かに始める。
あっ、でも無理ならいいんです、
別のところで寝ますから的な「引き」も忘れないから、こっちも辛い。
しなやかに生きるカトマンズの犬たちに、
今のところやられっぱなしの、妻と僕。
今日もふらりとやってきて・・・ |
重力に、すべてをゆだねる。大の字ではなく、「ヒ」の字になって。 |
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