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2012年3月16日金曜日

“アウンダイチャ”


バスの停留所。

こちらに近づいてくるバスの姿が見え始めると、

横にいるネパール人たちが口々に、

“アウンダイチャ、アウンダイチャ!” 



レストランで、「注文したけど、まだか?」とウェイターに尋ねると、

“アウンダイチャ、アウンダイチャ。”



もともとの動詞は「アウヌ(来る)」で、

文法的に言えば主語が3人称で単数で、現在進行形でこんな形になる。


だからいずれの場面でも「今こっちへ向かっている」、「もうすぐ来るから」という意味になる。




今日の午後、またガス屋に行ってみた。

15㎏ほどの赤いタンクに入ったプロパンガスは、

ネパール国民の台所に欠かせないのだけれど、

この2、3か月は深刻な供給不足で結構みんな困っている。

だましだまし使う我が家もなんとか手に入れたいと思い

ガス屋通いを続けているが、何度振られたことか。


町で誰かが中身の入ったガスを運んでいると、

ちょっとした羨望の的にさえなってしまう、今日この頃なのだ。



しかし今日は、違った。僕の顔を見るなり、店主が言った。

”アウンダイチャ” 


“え!?アウンダイチャ?”

店主、(首を何度も傾けて)”アウンダイチャ。”

僕はにわかに信じられず、別の店員にも“アウンダイチャ?”と確かめる。

店員、“アウンダイチャ!” と笑って答える。そして座って少し待てと。


めでたく我が家には、ガス満タンのタンクが到着し、

妻と二人で大喜びだ。 

誰かが言っていたが、ネパールでは幸せのハードルが低い(笑)


ちなみにアウンダイチャしているものが到着すると、“アヨ”になる。まあいいか。


この汚いタンクが、
本日現在、我が家の家宝(笑)




















果てしなく変化するネパール語動詞の語尾活用。


日常拾い上げる無数の言葉に、なんとか文法の理屈をかぶせては

自分なりに納得、整理するようにしているけれど、

目と耳と心と、時には身体全部で覚えるのが一番いい。

多分もう、“アウンダイチャ”だけは忘れない(笑)








































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